神経麻痺と回復


治療院に顔写真の載ったポスターを掲示しておくと、いつの間にか目や鼻の所に画鋲や磁石が移動していて「みんな、やる事は同じなんだな」としみじみしているインチョです。

このブログも270本を超えそれなりのボリュームになったと思いますが、ブログで飯を食う人に比べれば微々たるものですね。




さて、
右手首を甲の方に曲げる動作(背屈)と、肘から親指と人差し指の甲側にかけて皮膚の感覚が無い状態が突然現れて困ったという50代男性が来院。
脳梗塞などを懸念して病院で検査したものの異常はなく鍼灸を選択という流れ。

先に結論から書くと、病院での説明が上手く患者に届いていれば転院する必要は無かったと思われます。

筋肉活動や皮膚感覚の麻痺は、脳を筆頭とした「神経の問題」と考えるのが一般的で、これは更に「中枢神経と末梢神経の問題」に分かれ、それぞれ問診や検査を経て更に細かい問題に進んでいきます。

中枢神経と末梢神経の違い。イメージ
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今回の症例では、末梢神経(上肢)の問題という事で話しを進めます。

上肢に延びる末梢神経のほとんどは頸部の脊髄(中枢神経)から枝分かれしており、それは以下の様に「行き先」がほぼ決まっていて、症状から逆にどの神経に問題がありそうなのかを推測できます。
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*あいにく良い画像がなかったのでコレです。問題になるのは青で書かれた橈骨神経。手首を背屈する筋肉や上記症状範囲の皮膚知覚を担っています。

麻痺は「神経の連絡が断たれた状態」ですから、犯人は橈骨神経のどこかにいて、何かしら悪さをしているとわかります。

神経の連絡が断たれた状態になるには様々な要因が考えられますが、ここではSeddn(セドンさんが名付けた)末梢神経障害の分類というのを適応します。
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上から順番(損傷の軽い順)に

①neurapraxia(ニューラプラクシア)
神経がちょっと傷んでいて回復する。

②axonotmesis(アクソノトメーシス)
①よりもう少し傷んでいるが回復の見込み有り。

③neurotmesis(ニューロトメーシス)
線維が完全に断裂しており手術以外では回復しない。

かなりざっくりですが、こんな感じで分けています。

問診や検査を経て①ないしは②と予想され、またその部位についておおよそ特定できましたから、必要となる治療方法と管理が決まり2ヶ月で80%、4ヶ月でほぼ完治しました。

いつも書きますが、どんな検査を行っても原因のわかるものとそうでないものがあります。
治癒率を上げるには、わかっている事に確実に従う事と「わからない事が何なのかをわかる事」が大切だと思います。
この例にも不確定要素はありましたが、それを最小限にする努力はしましたね。


はじめにも書きましたが、この症例は私の所に来ずとも(わざわざ病院を変えなくても)治った可能性が高いと予想されます。
病態の理解と予想される治療期間について、じゅうぶんなコミュニケーションがあれば二度手間は防げたと思いますね。

結果的に患者さんは喜んだので問題はないし、そもそも「二度手間」だと気付くのは私だけという事になりますから、どうでも良いといえばそうなんですけど、不景気だの医療費の削減だ何だと騒ぐご時世ですから、気付かないとはいえ患者さんに無駄な労力や出費を抑えさせてあげるのも親切というものじゃないかと考えたりもしますね。


追伸

専門家の皆さんには初歩中の初歩、一般の方には全体像が見渡せる内容にしたかったのですが、後半からグダグダになり申し訳ありませんな。


おしまい





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by real-incho | 2016-05-20 10:35 | 身体の話